愛されたい、だけなのに










柳先生の目の前まで来ると前と変わらない、優しい笑顔を向けてくれた。



「卒業おめでとう。櫻井」


ぽんぽんっと頭を撫でる手が、温かい。




その温かさを感じて、我慢していた涙が溢れ出る。



「…たかっ…た」

溢れ出る涙で、うまく喋れない。

「ん?」



「あ…会いたかっ…た」


涙を拭いながら、やっとまともに言えた。




「…あぁ。俺も」


「!」


ボソッと柳先生が言った言葉が聞こえたと思ったら、腕を引っ張られ抱き締められた。



周りから悲鳴が聞こえる。











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