命の灯が消える、その時まで
えっと、私が楽しくピアノを弾いていたら、突然藤塚くんが入って来て。
ここは藤塚くんの秘密の部屋だけど、私は入ってよくて。
で、私は藤塚くんに曲作ってってお願いされて。
……わけがわからない。
「なんで? 」
「あれ、知らない? 俺の仕事」
前に真夕に同じこと言われたような…。
「ごめんね、私ずっと友達いなかったから、雑談あんましたことないの」
「…悪りぃ」
ちょっと嫌味っぽかったかな。
でも真実なんだから仕方ない。
「別に平気だけどね。で、藤塚くんは何をやっているの? 」
「あ、ああ。俺、フィギュアスケーターなんだよ」
「…え? 」
え、藤塚くんってフィギュアスケーターだったの?
あれ、このオチもどこかで経験したような…。
「俺、母さんがロシア人とのハーフでさ、クォーターなんだ。そういうのもあってガキの頃からスケートやってたんだよ」
え、ロシア人とのクォーター?
じゃあその髪の毛も…。
「ああ、これも地毛な」
まるで私の心を読んだかのようにさらっと答えた藤塚くん。