命の灯が消える、その時まで




待って、ほんとにこんなことってあるの?


…ないない、きっと偶然。


私の思い過ごし。


そう思うのに、胸が変にドキドキして気持ち悪い。


え、この気持ち悪さ、そういうのだけじゃない。



もっとこう、物理的というか…。



そこまで考えた時、不意に視界が霞んだ。


バーンと、無造作に鍵盤を叩いたような、不協和音が遠くで鳴っている。



「え、お前どうしたの!? 」


藤塚くんの焦った声が聴こえて。


ああ、私が入院した時もこんなんだったなってぼんやりと思って。





…意識が飛ぶ前に見たのは、白と黒の幾何学模様だった。



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