命の灯が消える、その時まで


『なーなー、早くどっか行こうぜ。俺、腹減った』

『うわ、日向って自己中! ま、私もお腹減ったけど』

『なんだよ、自己中って。てか結局夕凪も腹減ってんじゃん。巳影も萌音ちゃんも腹減ったべ? 』


突然訊かれて、たじろぐ私。

正直、まだあんまりお腹は空いてない。

だって、さっき映画館でポップコーン食べたんだもん。

でも、言いにくい。

きっと巳影くんもお腹が空いているんだろうなと、そっとその横顔を見上げた。

彼は相変わらず無表情で、何を考えているのかいまいちわからない。

私は誰にも気付かれないよう、そっとため息をついた。

まだ、自分の意見を人に伝えるのって、慣れないなぁ。


でも、巳影くんはそんな感じもなく、サラッと返した。


『俺、腹減ってるけど、もうちょっとなら我慢できる。さっきポップコーン食ったし。萌音もそうじゃねぇの? 』



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