命の灯が消える、その時まで


*・*・*


次に目を開けた時に見えたのは、病室の天井だった。


「実織!? 目が覚めたのね! 」

「お、かあさん…」

「大丈夫よ、今熊沢先生呼んでくるからね」



パタパタとお母さんが病室の外に出ていく音が、ぼんやりと聞こえた。



…なんだか、夢を見ていたよう。


ううん、ほんとに夢だったのかも。



そう思うんだけど、さっきの萌音との会話とか、あの空間の空虚感とか、鮮明に覚えていて。


あれは本当のことだったと思わざるをえない。


「残酷なくらい親切な神様」かぁ。


そんなの、本当にいるんだろうか。



だいたい、小説とリンクだって、してるはずない。



きっと偶然だよ、きっと。



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