命の灯が消える、その時まで
「実織ちゃん、大丈夫かい? 」
大きな体を揺らしながら、病室に入ってきた熊沢先生。
後ろからお母さんと高瀬さんも来た。
「実織ちゃん、気分は大丈夫? 」
「あ、はい。もう大丈夫です」
「一応検査だけしようか。すぐに検査室に来れるかな? 」
「はい、すぐ行きます」
先生に連れられて病室をでる。
歩くとちょっとふらっとしたけれど、ぐっと踏ん張った。
ふと、廊下の窓の外を見ると、雲がかかって霞んだ夕日が見えた。