命の灯が消える、その時まで
一通りの検査を終えて、お母さんと2人で診察室へ向かう。
中には難しい顔をした熊沢先生がいた。
「ああ、いらっしゃいましたか。どうぞお掛け下さい」
「あの、先生、実織は…娘は大丈夫なんですか? 」
お母さんがそう尋ねると、熊沢先生は難しそうな顔をして黙り込んだ。
…もしかして、私がいたらまずいのかな。
「先生、私ちょっと病室に戻ります。藤塚くんのところにいるので、何かあったら呼んでください」
「あ、ああ。分かった」
ここから私がいなくなると聞いて、明らかにホッとしたような顔をした先生。
そうだよね、本人に言いにくいよね。
…どんどんガンが進んでるなんて。