命の灯が消える、その時まで
ずっと人間不信だったんだから、その時に出会った人の前で笑ってることなんて、ほとんどないだろう。
ただでさえ、笑顔になるのは苦手なのに。
でも、真夕といるときとか今は…。
すっごく自然に笑えてたような気がする。
きっと、2人のおかげ。
私の凍った心を溶かしてくれたんだ。
そういえば、私藤塚くんの部屋に行こうと思ってたんだ。
藤塚くんにその旨を伝えると、二つ返事で部屋に案内してくれた。
「俺、飲みもん買って来るから、好きなとこ座ってて」
「うん、分かった」
再び病室を出て行く藤塚くんの背中を見送って、私は面会用の丸椅子に腰をかけた。
藤塚くんの部屋は、とっても綺麗に片付いていた。
服とかも散らかってないし、何冊かある漫画も棚に綺麗に収められている。
棚にさされた漫画に混じって、トレーニング本やスケートの本が入っていて、この間の話は本当だったんだなぁって実感した。
そういえば、この間の夢。
夢って言っていいのかわからないけど、あの萌音が出てきたやつ。
あれってなんだったんだろう…?