命の灯が消える、その時まで
あの小説と私の運命がリンクかぁ。
でも、もしもそれが本当なら…。
私はポケットからスマホを取り出し、書きかけの小説を開く。
もう結末、できかけちゃってるんだよね。
これならコンクールもいいとこいくんじゃないかなってくらいの自信作。
何件か届いてる感想も、これからの展開を期待する声ばかり。
…やっぱり、あれは嘘だよ。
あんな嘘に騙されて、大切な読者様を失うわけにはいかない。
だって、私のガンは進んでいるんだから。
残り少ない命で、私だって誰かを幸せにしたいの。
そのために小説を書いてきたんだから。
どんなに間接的なことでも、些細なことでも。
だから、私はこんなことに気を取られて小説を書かないなんて…だめだよ。