命の灯が消える、その時まで
『あっちぃ』
そう唸りながら通された席に座り込んだ日向くん。
『ちょっと日向、私も座るんだからどいてよ』
『ええー! 俺もっと寝てたい! 』
『知らないし』
ちゃっかり日向くんの隣の席をゲットした夕凪ちゃんは、口調は雑だけど、表情は嬉しそう。
『萌音、座んねぇの? 』
『ううん、座る! 』
って待って。
夕凪ちゃんが日向くんの隣に座ったってことは、必然的に私は巳影くんの隣に座るってこと!?
1人であわあわしていると、ちょっと拗ねたような顔で巳影くんが私の顔を覗き込んできた。
『うわぁ! 』
突然すぎて、顔が熱くなる。
『萌音、俺の隣やなの? 』
『へ? 』
『だって、座ってくれないから』
『ううん、そんなことない! 』
私は慌てて巳影くんが寄り掛かってない方の椅子に腰掛けた。
そっと巳影くんの表情を伺うと、ヘニャリと笑ってくれた。
…待って、これはレア。
こんな子供っぽい笑顔、初めて見た。
私はまた熱く火照った顔を巳影くんに見られないよう、手で顔を覆った。