命の灯が消える、その時まで
「ん…」
目を開けると、真っ白な世界をバックにした男の子の顔が、視界いっぱいにあった。
「目ぇ覚めた!? よかったぁ! 」
…まって、頭がついてかない。
どうして私のそばに男の子がいるの?
っていうか、誰?
「あの、あなたは…? 」
「え、俺のこと知らない!? 同じクラスじゃん! それに濱時にボール当てちゃったの俺なんだけど! 」
あ、そうなんだ。
ごめんなさい、クラスの人の4分の1も名前覚えてないです。
はぁー、とその人はため息をついた。
「まー、いいや! 俺、藤塚 幻冬! よろしくな」
「はぁ。私は濱時 実織です」
「はぁってお前…くっ」
はちみつ色に染まった髪を揺らしながら、藤塚くんが笑う。
私は訳が分からず、オロオロするばかり。