命の灯が消える、その時まで


「やった! 奏、一緒に昼飯食ってくれるって!」


考え事をしている間にちゃっかり村澤くんとの約束を取り付けたらしい真夕。

幸せそうに頬を染めている。


「よかったじゃん! ほらほら、いってらっしゃい!」

「おう、ありがとな!」


廊下に向かって颯爽と立ち去っていく真夕。


その後ろ姿に手を振っていたら、突然グラリと視界が揺れた。


「…ぅ」

「え、実織? 大丈夫かよ!」


呻き声を聞きつけてか、こちらに戻ってきた真夕。


そんな真夕を手で制し、私は無理やり口角を上げた。



「私は、大丈夫。村澤くんの、ところに行って」

「でも…」

「これはね、もともとなの。病気とか、関係なく」


ごめんね、真夕。
こんなの嘘だよ。

ほんとは病気になる前は、健康そのものだった。

ネクラだったけど。

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