命の灯が消える、その時まで
慣れたようにスマホを操作する藤塚くんを見て、始業式のときの女の子たちの会話を思い出した。
__ねぇねぇ、げんちゃんと同じクラスだよ!
え、げんちゃんって?
知らないの!? 去年のミスコンで2.3年生さしおいて優勝した藤塚 幻冬だよ!
ああ、あの人か!
それにげんちゃん、世界的に有名なね__
あれ?
世界的に有名な、なんだっけ?
でも、とりあえず人気者ってことは分かった。
明るいはちみつブラウンの髪の毛も、顔の彫りが深めだからか、全く浮いてない。
「うし! できたぞ! 」
藤塚くんは私にスマホを返しながら、はちみつ色の髪をくしゃっとかきあげた。
「じゃ、俺戻るわ。あ、ここは405号室で、俺がいるのが412号室ね。じゃ! 」
藤塚くんはそう言うと、颯爽と病室を去っていった。