命の灯が消える、その時まで


慣れたようにスマホを操作する藤塚くんを見て、始業式のときの女の子たちの会話を思い出した。


__ねぇねぇ、げんちゃんと同じクラスだよ!

え、げんちゃんって?

知らないの!? 去年のミスコンで2.3年生さしおいて優勝した藤塚 幻冬だよ!

ああ、あの人か!

それにげんちゃん、世界的に有名なね__



あれ?
世界的に有名な、なんだっけ?



でも、とりあえず人気者ってことは分かった。


明るいはちみつブラウンの髪の毛も、顔の彫りが深めだからか、全く浮いてない。


「うし! できたぞ! 」


藤塚くんは私にスマホを返しながら、はちみつ色の髪をくしゃっとかきあげた。


「じゃ、俺戻るわ。あ、ここは405号室で、俺がいるのが412号室ね。じゃ! 」



藤塚くんはそう言うと、颯爽と病室を去っていった。




< 15 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop