命の灯が消える、その時まで



*・*・*


走ること数分。


私たちは、ようやく藤塚くんたちのところへやってきた。


って言っても、たいして走ったわけではないんだけど。


意外と美枝さんの美容院が待ち合わせ場所に近かったってこと。


「ごめーん、待たせた!」

「おせーぞー!」

「ごめんって。ってか見て見てげんちゃん! 実織、めっちゃかわいくない!?」


ババーンって感じで背中を押され、前につんのめる私。

なんだか照れくさくって、私は前髪を触った。


「へー、かわいいじゃん!」

先に褒めてくれたのは村澤くん。

「へへ、ありがとう」


お世辞でも嬉しかった。

だけど、ちょっと胸がモヤモヤするような…。



< 154 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop