命の灯が消える、その時まで
「ほーら、げんちゃんもなんとか言ってよー!」
真夕のそんな声で、ハッと思い当たった。
私、藤塚くんに最初に褒めてもらいたかったんだ…。
…なんて図々しい。
この間まで信頼できないだのなんだの言っていたくせに。
急にこっちを見てほしいなんて。
図々しいにもほどがある。
でも…。
「あーうん、似合ってんじゃん」
藤塚くんの言葉1つで、私の心は舞い上がってしまう。
ああ、なんて図々しいんだろう、私って。
きっと…。
夏の暑さのせいだ、なんてね。