命の灯が消える、その時まで



「ほーら、げんちゃんもなんとか言ってよー!」


真夕のそんな声で、ハッと思い当たった。


私、藤塚くんに最初に褒めてもらいたかったんだ…。


…なんて図々しい。


この間まで信頼できないだのなんだの言っていたくせに。


急にこっちを見てほしいなんて。



図々しいにもほどがある。


でも…。


「あーうん、似合ってんじゃん」


藤塚くんの言葉1つで、私の心は舞い上がってしまう。


ああ、なんて図々しいんだろう、私って。


きっと…。


夏の暑さのせいだ、なんてね。



< 155 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop