命の灯が消える、その時まで



手術室の前で待つこと数時間。


いちごオレもなくなって、ただひたすら先生が出てくるのを待った。


時間の感覚がおかしくなったときだった。


鈍い音を立てて、手術室の扉が開いたのは。


中から出てきた先生にすがりつくお母さん。


『娘は、夕凪は平気なんですか…っ!』


お母さんの問いかけは、悲痛な叫びとなって、私にも刺さった。


先生の顔を伺って、ハッとした。

暗い顔。
もしかして…。


『危機的状況からは脱しましたが、まだ意識が戻っていません。今後どうなるかも、まだ何とも言えません』

『そ、そんな…』

『夕里子っ!』


膝から崩れ落ちたお母さんを駆け寄って支えたお父さん。


私たち3人も、揃って俯いた。


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