命の灯が消える、その時まで


『萌音…』


心配顔の巳影くんが病室に入ってきた。

『お前、ここんとこ全然寝てないだろ? あんまり無理すると体調崩すぞ』

『うん…、大丈夫…』

『大丈夫って、全然平気な顔じゃないだろ!』



心配してくれてありかとう。


だけどね、私はもうすぐ死んじゃうんだから、これくらいはしていたいの。


『大丈夫。心配してくれてありがとう。私、曲録音してくるから巳影くん夕凪ちゃんについててあげて』

『…分かった』


録音するときはそばに人を置かない。


これまで2回くらい録音してきたけど、その度にみんなに話しておいた。


だから、絶対巳影くんは私についてこない。


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