命の灯が消える、その時まで



巳景くんに恋をしたのは、本当に突然だった。


みんなと仲良くなったけど、まだ誰にも病気のことを言えてなかった私。


言いたくないけど、騙しているような気がして後ろめたかった。

そんな時は、必ず病院の音楽室に通っていた。



昔からピアノを習っていて、作曲とかもしてた私。


その日も自分で作った曲に、自分で考えたフレーズをのせて歌っていた。


歌い終わったあとの満足感と、喪失感。


ああ、完成したなっていう満足感。

そして、もうすぐ歌えなくなっちゃうんだなっていう喪失感。


そんな思いに浸っている時、不意に拍手が聞こえた。




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