命の灯が消える、その時まで



初めて入ったスケートリンクは、夏だというのにとても寒かった。


そりゃ当たり前だよね、氷があるんだもん。


夏の薄い服ではものすごく寒くて、思わず自分の身を自分で抱く。


するとそのことに気付いた巳影くんが私に、持ってきていたらしいパーカーをかけてくれた。


『ありがと』

『いや、俺がちゃんと伝えておけばよかったんだよな。萌音を驚かせたくてさ…』


しゅんとした顔をした巳影くん。


その顔があまりにもかわいくて、思わず笑ってしまった。


『大丈夫。もうあったかいから』



そう言うと巳影くんは、嬉しそうにふわりと笑った。


< 190 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop