命の灯が消える、その時まで
初めて入ったスケートリンクは、夏だというのにとても寒かった。
そりゃ当たり前だよね、氷があるんだもん。
夏の薄い服ではものすごく寒くて、思わず自分の身を自分で抱く。
するとそのことに気付いた巳影くんが私に、持ってきていたらしいパーカーをかけてくれた。
『ありがと』
『いや、俺がちゃんと伝えておけばよかったんだよな。萌音を驚かせたくてさ…』
しゅんとした顔をした巳影くん。
その顔があまりにもかわいくて、思わず笑ってしまった。
『大丈夫。もうあったかいから』
そう言うと巳影くんは、嬉しそうにふわりと笑った。