命の灯が消える、その時まで
アップを終えたらしい巳影くんが、スーッとリンクの縁に来た。
私は慌てて駆け寄って、ポケットからタオルハンカチを取り出し、彼に差し出した。
『さんきゅ』
こんなにも寒いところにいるのに、巳影くんのはちみつ色の髪の毛は、汗で額に張り付いていた。
それは巳影くんが頑張っている証拠。
さっと汗を拭った巳影くんは、私の額にそっとキスをした。
『うわぁ! 急に何!』
『今から滑るから。萌音の曲』
私を見下ろす巳影くんが、真剣な声色でそう言った。
私も熱くなった頬を手で押さえながら、真剣に返した。
『頑張れ』