命の灯が消える、その時まで
曲が終わり、最後までしっかり決めた巳影くんは、すぐにまたリンクの縁に来てくれた。
『なんで曲…』
『俺、萌音が弾いたピアノで踊りたいんだ。なあ、今度ちゃんと収録付き合ってくれよ』
私が巳影くんに書いた曲。
それに対して彼は、余るほど素晴らしいお返しをくれた。
帰り道。
巳影くんと手を繋ぎながら歩く。
『私ね、昔からピアニストになりたかったの』
『へぇ。叶うじゃん』
『うん』
『あれを萌音が弾いて俺が滑れば、きっとお前も有名になれる』
『え…』
『お前の夢、俺が叶えてやる』
そう言った巳影くんの瞳は力が溢れていて。
まだ余命のことを言えていない私は、曖昧に笑った。