命の灯が消える、その時まで


曲が終わると、2人とも拍手してくれた。


「お前、作曲のセンスも演奏のセンスもあるんだな」

「ほんとほんと。知らなかったわ」

「そんなことないって」


私が手を振って謙遜すると、その手をガシッと藤塚くんに掴まれた。


「お前、明日スタジオ付き合ってくんない? 濱時のピアノで俺が滑る」


あまりにも突然のこと過ぎて、私はポカンとした。

そのままどんどん話が進んでいく。


「いーじゃん、行ってこいよ!」

「熊沢先生には俺から言っておくから」


あれよあれよという間に話がまとまり、私は明日の外出許可を獲得したのだった。



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