命の灯が消える、その時まで


スタジオで指示された通りピアノを弾き、オーケーが出たのは午後2時だった。


10時からスタジオ入りだったから、多分少し早めのあがりだ。


「今日はありがとう」

「いや、こちらこそ。さんきゅーな」


また止まってしまった会話。


そのまま病院に向かおうとする藤塚くんの服の裾をぎゅっと引っ張った。


こんな最後で終わりたくない。


その思いだけが、私を強くした。


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