命の灯が消える、その時まで
藤塚くんの胸に顔を埋めたまま、私は続けた。
「私ね、最後の外出が藤塚くんと一緒で嬉しかったんだよ」
「ああ」
「だからさ、滑ってるところを見せてよ…」
「ああ」
短く答えた藤塚くんの声は、微かに震えていた。
その後、手を繋ぎながら向かったのはスケートリンク。
座るように促されたのは、リンク脇のパイプイスだった。
「上からでもいいんだけどさ、俺がお前と離れたくないんだ」
「ううん。私もこんな特等席で藤塚くんの姿が見れるの、嬉しいよ」
そっか、と照れ臭そうに笑った藤塚くん。
そして私の頭をポンポンッと撫でると、リンクへ向かって行った。