命の灯が消える、その時まで
18
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おやつ時でたくさんの人で賑わっている病院内の食堂。
そこで唯一のテラス席を確保した私と夕凪ちゃんは、恋バナに花を咲かせていた。
病室で恋バナなんて、できやしない。
だって、本人いるし。
だからこうしてテラス席を確保できた時だけ恋バナをするの。
巳影くんが好きなことを隠してた私はもっぱら聞き役だったけど、今日はカミングアウトしてみるつもり。
だって、昨日のこと相談したいんだもん。
食堂で買ったカップケーキをつっつきながら、夕凪ちゃんが切り出した。
『で、相談って? 萌音珍しいね』
『あ、うん。あのね…』
この際、と弾みをつけて巳影くんのことだけじゃなく病気のことも話してみる。
思ったより私は話すのが下手で、たくさんたくさんつっかえた。
それでも、夕凪ちゃんはしっかりと聞いてくれた。
話し終わった時には周りにいたはずの人はもっと増えていて。
空もすっかり夕方と夜の狭間の色をしていて。
カレーのいい匂いが漂う中、私たちはしょっぱくなったカップケーキを食べ、テラスから出た。