命の灯が消える、その時まで
突然扉がノックされた。
私はベッドの上で、上ずった返事をする。
扉を開けて入ってきたのは、朝河さんだった。
「…何か用ですか? 」
思わず声が硬くなる。
表情もきっと、こわばっているんだろう。
朝河さんも硬い表情で私に向き合う。
「…こないだは悪かった! 」
そう言うと、土下座しそうな勢いで頭をさげる朝河さん。
私は戸惑って、ああとかうんとか、曖昧な言葉を呟く。
「あたしさ、喘息持ちなんだ。それも結構ひどくてさ。発作で死にそうになったことなんて何度もあるんだ。いつまで生きれるかなんて分かんなくって、ずっと不安だった…」
彼女の口から伝えられたのは衝撃の事実。
私は口をあんぐり開けて朝河さんを見つめた。
「あたしが実織の病気のこと知ってたのもさ、馬淵先生が気を利かせて教えてくれたんだ。あたしと同じような未来を持つ子がいるって。それも同い年で。今までもそう言う人がいなかったわけじゃないんだけど、いっつも年の離れた人しかいなかったんだ。だから悩みとかもいまいち共有できなくて、あたしはずっとひとりぼっちだった」
そうだったんだ…。