命の灯が消える、その時まで



「馬淵先生って、実はあたしの1番上の兄貴なんだ。兄貴もきっと兄貴なりにあたしのことを心配してたんだろうな。それであたしに実織のこと教えちゃったんだと思う。だけどあんとき実織に怒られて、ああなんて失礼なことしちゃったんだろうって」


そこで言葉を区切ると、朝河さんはもう1度頭を下げた。


「ほんとごめん、考えなしだった。こんなあたしだけど、同じ立場の人間として仲良くしてくれないかな? 」


なんだか泣きそうに見える朝河さんの表情に心を動かされた。


これはきっと、アイドルとしての表情じゃなくて、朝河さん本人の表情。


そう、信じられたから。




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