命の灯が消える、その時まで
次の日、朝起きると自分の部屋にはいなかった。
あれ、ここどこ?
真っ白な世界。
ここは、病院?
そっか、私入院したんだ。
『萌音、目が覚めた? 今日は検査があるんですって』
ベットの脇の棚の上に置かれた花瓶を持ちながら、お母さんが言う。
『そっか。分かった』
『もうすぐ看護師さんが朝ごはんを持ってきてくれるだろうから、顔を洗ってらっしゃい』
タオルを渡しながら微笑むお母さんに、コクリと頷いて答えた。
ベットの下に置いておいたスリッパを引っ張り出し、それをつっかけて廊下へ出る。
廊下の端っこにある共用の水道で、顔を洗った。