命の灯が消える、その時まで
ようやく終わったHR。
だけど、終わった途端雅斗に捕まった。
「おいこら、ちょっと来いや」
「お、おう…」
教室中、いや学校中の視線を2人占めしながら移動したのは屋上。
「で、なんであんなことしたんだ? 」
「それはさっきも言った通りで…」
「それ以外の、根本的な理由訊いてんだよ」
俺の言葉を遮りながら紡がれた言葉は、明らかに不満と心配の色を含んでいて。
こいつ、昔から変わってないな。
俺がなんか隠し事すると、ぶっきらぼうな言葉で、精一杯の心配を表現する。
それに不満が混じるのは、まあご愛嬌。
嘘や隠し事が嫌いな雅斗ならではの心配の仕方だ。
「…あいつ、病院にいたんだ」
「濱時がか? 」
「そう。俺がボール当てちゃってからね、入院してんの」
なんで入院してるかなんて、訊いたことなかった。
なんだか訊いてはいけないような、そんな気がしてたから。
「…あっそ」
やっぱりぶっきらぼうな応答も、「これ以上は訊かないから安心しな」っていうメッセージ。
俺は柵に背を預けて、ズルズルとしゃがみ込んだ。
「俺、あいつのこと知りたいんだよなぁ」
「…惚れたのか? 」
「ばっ! そうじゃねーよ! ただ、あいつは俺の探し物なんじゃねーかな」
「…ああ、作曲者か」
「そうそう」
濱時。
俺、お前のことが知りたいんだ。
そんで頼みたいことがあるんだ。
[幻冬side end]