命の灯が消える、その時まで


朝。


いつもより少し遅めに目が覚めた。


起き上がって、グッと背伸びをする。


よし、今はお腹痛くない。


ちらりとスマホに視線をやると、LINEの受信を示すランプが点滅していた。



夕凪ちゃんかな?


急いで開くと、それはそれは長文のメッセージだった。


絵文字とか、顔文字とか、いつもよりたくさん使われていて、すっごく喜んでくれてるんだってことがひしひしと伝わってきた。


【とにかくおめでと! お幸せに】



そう締めくくられたLINEにスタンプで応える。


『…お幸せに、かぁ』


ポツリと産まれた言葉は、私の憂いを含んで、朝の光の中に溶けていった。





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