命の灯が消える、その時まで
というわけで残った私たちは鏡の前でにらめっこしているんだけど…。
『萌音ー、まだ? 』
ジーンズ生地のミニスカにノースリーブのプリントシャツ、長い髪は毛先をコテで巻いてこれまたジーンズ生地のうさ耳カチューシャ。
素足にヒールのついたフリンジのサンダルを合わせた夕凪ちゃんに、さっきから約15分ほど睨まれております。
『だって、何着ていくか迷っちゃって…』
『迷うほど服ないでしょ! 入院してるんだから』
『そうだけど…』
私の目の前には、白くてひらひらしたワンピースと青無地のノースリーブに合わせたショートパンツが鎮座している。
どっちを着て行こう…?
『ねえ、どっちがいいと思う? 』
『だーかーらー、私はワンピがいいと思うってば! 』
そう、実はもう何回も同じやり取りをしているの。
夕凪ちゃんは相変わらずワンピース推しなんだけど、私はちょっと躊躇ってる。
だって、こんなひらひらのワンピース着て行って、気合い入りまくってるみたいじゃない?
それってちょっと恥ずかしい…。
『もぉ! 気合い入っていーの! 初デートなんだから! 』
結局半ば無理やりワンピースを選択させられ、青いカジュアルなパーカーを合わせることで妥協。
足元は夕凪ちゃんに倣って、素足に白いシンプルな革のサンダル。
『どう…かな? 』
『うん、可愛い! はい、ここ座って』
示されたのは、夕凪ちゃんのベッド。
その端っこにちょこんと腰掛ける。