僕は君に夏をあげたかった。
カバンからは、あずささんの言うとおり、たくさんのプリントが出てきた。

夏休みについての諸注意やスケジュール、それに宿題。

それに………手紙。

ピンクの封筒に入っている可愛らしいものだ。


あずささんが言っていた。

クラスの友達から手紙を預かっていると。


「……友達なんて、いないけど」


でも、手紙の相手には心当たりがある。

田中さん。

あのとき気まずく別れ、そのまま私が不登校になったから責任を感じてしまっているのかもしれない。

言い過ぎたからごめん、とでも書いているのだろうか。

あまりそんな社交辞令はほしくないと思いながらも、変に責任を感じさせるのも申し訳なかったりする。


「……私も、いろいろ言っちゃったりしたしね」


あのとき、私がもう少し態度を変えていたら、なにか違っていたのかな。

なぜか今となってはそんな風に思うのだ。


「………まあ、……とりあえず、読んでみよう」


封筒の裏に書かれていたのは、予想通り田中さんの名前。

私は手紙の封をあけた。
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