僕は君に夏をあげたかった。
「………私……恥ずかしい」


恥ずかしい。恥ずかしい。みっともない。

思えばずっと言い訳ばかりしている。

楽な方へとばかり逃げている。


佐久良くんの言うとおりだった。

私は人のせいにばかりして、自分は努力ひとつしないで。

ここでもおじいちゃんや、何より佐久良くんの優しさや想いにばかり甘えて。

佐久良くんが守ってくれると言ったので、満足して。

今………佐久良くんは自分のことで戦っているのに。


「………私は……恥ずかしい」


でも………

少しでも、変わりたい。


佐久良くん。

今度は私があなたを守りたい。


ようやく、そう、心から思った。


自分を恥ずかしいと。みっともないと。

変わらないといけないと。


やっと、本当に思えた。


「……そうだ。夏休みは終わるんだ。私も終わらせないと」


私は閉めきっていたふすまを開けて、部屋から出た。

おじいちゃんと話そう。

これからのことについて。

そして一度、大阪に戻ろう。


お父さんや、…………あずささんとも話さないと。


しっかり見極めよう。

言い訳するんじゃなくて。

寂しさや、悔しさに流されるんじゃなくて。

お父さんの再婚を、新しい家族を

自分が本当はどう思っているのかを。
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