僕は君に夏をあげたかった。
私のややネガティブな発言に、おじいちゃんは顔をくしゃりとさせて、おおらかな笑みを浮かべた。
「そんなん心配ないやろ。たかだか2年やんか。
どうやら夏くんも、ほとんど毎日一人で過ごしとるみたいやし。麻衣ちゃんが来て、内心喜んどるかもしれへんよ」
「………そっかな」
確かに、さっきの彼の態度からはどちらかといえば、好意的なものを感じたけれど。
本当に私を歓迎してくれるのだろうか。
(……あれ、そういえば……ほとんど一人って……)
ふと、違和感にも似た疑問が沸き上がる。
「……ねえ、おじいちゃん。佐久良くんってどうしてこの町にいるの?
毎日一人でいるってことは、学校には行ってないの?」
佐久良くんは『夏休み』みたいなものといってはぐらかしていたけれど
やっぱり気になって仕方ない。
こんないなか町で、平日の昼間から一人で海にいるなんて不自然だ。
……まあ、私自身の立場も似たようなものだけれど。
「……うーん。せやなあ。わしも詳しく知ってるわけやないんやけど」
おじいちゃんには珍しく、歯切れの悪い口調で、モゴモゴと言い淀む。
なにも知らないわけでないのは明らかだ。
じっと見つめて続きを待つと、おじいちゃんは観念したように話し始めた。
「……夏くんは療養に来とるらしいで」
「療養……?」
「そう。ここは空気がええからな。しばらくの間、のんびり身体を休めるんやって、親戚のとこにおいてもらっとるらしい……」
「………」
「そんなん心配ないやろ。たかだか2年やんか。
どうやら夏くんも、ほとんど毎日一人で過ごしとるみたいやし。麻衣ちゃんが来て、内心喜んどるかもしれへんよ」
「………そっかな」
確かに、さっきの彼の態度からはどちらかといえば、好意的なものを感じたけれど。
本当に私を歓迎してくれるのだろうか。
(……あれ、そういえば……ほとんど一人って……)
ふと、違和感にも似た疑問が沸き上がる。
「……ねえ、おじいちゃん。佐久良くんってどうしてこの町にいるの?
毎日一人でいるってことは、学校には行ってないの?」
佐久良くんは『夏休み』みたいなものといってはぐらかしていたけれど
やっぱり気になって仕方ない。
こんないなか町で、平日の昼間から一人で海にいるなんて不自然だ。
……まあ、私自身の立場も似たようなものだけれど。
「……うーん。せやなあ。わしも詳しく知ってるわけやないんやけど」
おじいちゃんには珍しく、歯切れの悪い口調で、モゴモゴと言い淀む。
なにも知らないわけでないのは明らかだ。
じっと見つめて続きを待つと、おじいちゃんは観念したように話し始めた。
「……夏くんは療養に来とるらしいで」
「療養……?」
「そう。ここは空気がええからな。しばらくの間、のんびり身体を休めるんやって、親戚のとこにおいてもらっとるらしい……」
「………」