僕は君に夏をあげたかった。
あげられなかった。
海から助けられてから数日。

私は熱を出して寝込んでしまった。

疲労と、そして何よりストレスが原因とのことだった。

熱にうなされ、意識が朦朧とする日々。

私を献身的に介抱してくれたのは、あずささんだった。

どうしても仕事を休めなくて大阪に戻ったお父さんや、日々の雑務に忙しいおじいちゃんの代わりに、あずささんはここに残り私のそばにいてくれた。

おかゆをつくり、薬を用意して、着替えを手伝ってくれたり、ときにフルーツやアイスクリームを食べさせてくれたり。

余計な話はしなかったけれど、あずささんはいつもそばにいてくれた。


風邪で苦しいときに、すぐ近くに誰かがいる。

それはとても懐かしい安心感だった。



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