僕は君に夏をあげたかった。
【エピローグ】ある秋の日
「麻衣ちゃーん、起きてるー?早く朝ごはん食べなさい。遅刻するわよ」
階下から私を呼ぶ『おかあさん』の声。
私は「はーい」と返事をして、階段をかけおりる。
すぐにお味噌汁のいい匂いがしてきた。
お父さんと2人のときは、私がトーストの朝食を用意していた。
でも、和食が得意なおかあさんは、よくご飯とお味噌汁の朝ごはんを作る。
そのことに、今ではすっかり慣れていた。
カレンダーは10月になったばかり。
あの夏の日々が、暑さが薄れるとともに、少しずつ淡く優しい思い出に変わっていた。
「……はい、麻衣ちゃん。お味噌汁熱いから気を付けてね」
「……ん。大丈夫、おいしい」
「そう、良かった。
……あ、そうだ、麻衣ちゃん。今日、おとうさんが早くお仕事早く終わるんですって。それで、たまには外食しようかって言ってるんだけど、どうかしら?」
「……あー。ごめん。今日は部活で遅くなる。もうすぐ文化祭だから」
そう答えると、おかあさんは嫌な顔ひとつせず、柔らかく微笑む。
階下から私を呼ぶ『おかあさん』の声。
私は「はーい」と返事をして、階段をかけおりる。
すぐにお味噌汁のいい匂いがしてきた。
お父さんと2人のときは、私がトーストの朝食を用意していた。
でも、和食が得意なおかあさんは、よくご飯とお味噌汁の朝ごはんを作る。
そのことに、今ではすっかり慣れていた。
カレンダーは10月になったばかり。
あの夏の日々が、暑さが薄れるとともに、少しずつ淡く優しい思い出に変わっていた。
「……はい、麻衣ちゃん。お味噌汁熱いから気を付けてね」
「……ん。大丈夫、おいしい」
「そう、良かった。
……あ、そうだ、麻衣ちゃん。今日、おとうさんが早くお仕事早く終わるんですって。それで、たまには外食しようかって言ってるんだけど、どうかしら?」
「……あー。ごめん。今日は部活で遅くなる。もうすぐ文化祭だから」
そう答えると、おかあさんは嫌な顔ひとつせず、柔らかく微笑む。