僕は君に夏をあげたかった。

「……夢」


カーテンの隙間から差し込むまぶしい朝日で目が覚めた。

時計は６時半。

少し早いけれど、おじいちゃんもそろそろ起きてくるだろうからちょうどいいや。

もう起きることにしよう。

布団を片付け、窓を開けると早くもセミの鳴き声が聞こえてきた。

早朝だというのに、すでに太陽はギラギラ輝いている。

今日もきっと暑い１日になるだろう。



（……それにしてもなんだか懐かしい夢を見た気がする）

中学時代の夢。

私と佐久良くんの夢。


こっちに来てからもう１週間以上経った。

その間、ほとんど毎日佐久良くんと一緒にいるからあんな夢を見たのだろう。


「……お父さん……」


ため息と一緒にこぼれた、家族の名前。

…こっちに来てから１週間以上経った、……けど

お父さんから連絡は一度もない。