僕は君に夏をあげたかった。
朝食を終えて、おじいちゃんの家の家事を簡単に済ませると、海へ向かう。
もちろん佐久良くんと会うために。
佐久良くんに海で会って、絵のモデルをして、商店街へシジミにごはんをあげにいく……
もうすっかり毎日の習慣になっている気がする。
それが嫌ではないけれど……
ふと、いつまでこんな風に会えるのだろうと、たまらなく不安になるときがある。
私はいつまでこの町にいるんだろう。
いや、いつまでいてもいいのだろうか……。
**
「……夏休みが始まったのか」
私より遅れて海にやってきた佐久良くんが、苦笑いしながらつぶやいた。
私は少しうんざりしながらうなずく。
いつもの浜辺。
暑さと遊泳禁止のため、ほとんど人のいない静かな浜辺。
……ではなく
小学生と思われる子供たちが、砂浜を縦横無尽に駆け回っていた。
砂をほりかえしたり、裸足でドッジボールをしたり、磯で蟹や魚をさがしたり
さすがに泳いでいる子はいなかったものの、波打ち際で遊んでいる子も多い。
きゃーきゃーと騒がしい声が、波の音をかきけすくらい響いていた。
「……ここに来たばっかりのときの松岡さんみたい」
「こんなに騒いでなかったもん」
お互い、なんとなく困った顔で目を合わせ、肩をすくめる。
小さい町といえど、普通に学校は建っているし、子供だっている。
ただいままでは授業があったため、どちらかといえば午前中に行動していた私たちは、あまり子供に会うことがなかった。
でも、すっかり日付感覚がなくなっていて気づかなかったけど、いつの間にか世間は夏休みになっていたようだ。
私たちの偽物の夏休みでなく、本当の夏休みに。
(……朝から元気だなあ)
この町の子供にとって、砂浜は公園のようなものみたい。
おそらく夏休みが終わるまで、海は毎日こんな感じだろう。
もちろん佐久良くんと会うために。
佐久良くんに海で会って、絵のモデルをして、商店街へシジミにごはんをあげにいく……
もうすっかり毎日の習慣になっている気がする。
それが嫌ではないけれど……
ふと、いつまでこんな風に会えるのだろうと、たまらなく不安になるときがある。
私はいつまでこの町にいるんだろう。
いや、いつまでいてもいいのだろうか……。
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「……夏休みが始まったのか」
私より遅れて海にやってきた佐久良くんが、苦笑いしながらつぶやいた。
私は少しうんざりしながらうなずく。
いつもの浜辺。
暑さと遊泳禁止のため、ほとんど人のいない静かな浜辺。
……ではなく
小学生と思われる子供たちが、砂浜を縦横無尽に駆け回っていた。
砂をほりかえしたり、裸足でドッジボールをしたり、磯で蟹や魚をさがしたり
さすがに泳いでいる子はいなかったものの、波打ち際で遊んでいる子も多い。
きゃーきゃーと騒がしい声が、波の音をかきけすくらい響いていた。
「……ここに来たばっかりのときの松岡さんみたい」
「こんなに騒いでなかったもん」
お互い、なんとなく困った顔で目を合わせ、肩をすくめる。
小さい町といえど、普通に学校は建っているし、子供だっている。
ただいままでは授業があったため、どちらかといえば午前中に行動していた私たちは、あまり子供に会うことがなかった。
でも、すっかり日付感覚がなくなっていて気づかなかったけど、いつの間にか世間は夏休みになっていたようだ。
私たちの偽物の夏休みでなく、本当の夏休みに。
(……朝から元気だなあ)
この町の子供にとって、砂浜は公園のようなものみたい。
おそらく夏休みが終わるまで、海は毎日こんな感じだろう。