僕は君に夏をあげたかった。
「そうよ。みんな麻衣ちゃんのこと心配しているみたいよ。夏休みが明けたら学校に戻ってきてほしいって……」
「っ、うるさいなあ!あんたに関係ないじゃん!」
「……麻衣ちゃん……」
彼女の日傘が傾く。
悲しそうに顔をふせ、一歩あとずさった。
「私、あんな学校嫌いなの!それにあんたも嫌い!
どうせお父さんに頼まれてイヤイヤここに来たんでしょ!?いい人ぶらないでよ!!」
「ーーーー松岡さん……!」
「…っ!?」
苛立ちに身を任せ叫ぶ私を、佐久良くんの静かな声が引き留めた。
静かだけれど……とても厳しい眼差しで私を見ている。
「……さ、佐久良くん」
佐久良くんは人差し指を立て、口に当てた。
「駄目だよ」
「………あ」
見ると、佐久良くんの腕のなかでシジミが身体を丸く、小さくなっている。
私の大声に怯えたことは明らかだ。
「ご、ごめん……。シジミも……ごめん」
慌てて声を落とし、シジミを撫でるけれど、その身体は小さく震えていた。
……私、何をしているんだろう。
様子のおかしいシジミの前で、こんな怒鳴り散らして。
……最低だ。
「っ、うるさいなあ!あんたに関係ないじゃん!」
「……麻衣ちゃん……」
彼女の日傘が傾く。
悲しそうに顔をふせ、一歩あとずさった。
「私、あんな学校嫌いなの!それにあんたも嫌い!
どうせお父さんに頼まれてイヤイヤここに来たんでしょ!?いい人ぶらないでよ!!」
「ーーーー松岡さん……!」
「…っ!?」
苛立ちに身を任せ叫ぶ私を、佐久良くんの静かな声が引き留めた。
静かだけれど……とても厳しい眼差しで私を見ている。
「……さ、佐久良くん」
佐久良くんは人差し指を立て、口に当てた。
「駄目だよ」
「………あ」
見ると、佐久良くんの腕のなかでシジミが身体を丸く、小さくなっている。
私の大声に怯えたことは明らかだ。
「ご、ごめん……。シジミも……ごめん」
慌てて声を落とし、シジミを撫でるけれど、その身体は小さく震えていた。
……私、何をしているんだろう。
様子のおかしいシジミの前で、こんな怒鳴り散らして。
……最低だ。