僕は君に夏をあげたかった。
誰ともほとんど話すことなく学校を終え、重い気持ちで家に帰ると、迎えてくれるのは顔も見たくない人。
「お帰りなさい、麻衣ちゃん」
「……」
玄関まで出てきたあずささんを無視して、自室へと向かう。
一人にしてほしいのに、あずささんはついてきて話しかけてきた。
「あ、お、おやつあるわよ。麻衣ちゃんシュークリームが好きだってきいて買ってきたの……」
「いらない」
「……そ、そう。友達と何か食べてきたのかしら?」
「関係ないでしょ」
友達なんて、いないし。
わざとバンッと大きな音を立ててドアをしめると、その向こうからあずささんのため息が聞こえてきた。
(…なによ、傷ついたふりしないでよ)
嫌なのはこっちの方よ。
あんたさえ来なければ、お父さんと2人で上手くやっていたのに。
いい人ぶって、母親ぶって、私にこびを売ってきて
ーーー馬鹿みたい。
「…きらい。あんな人」
そうつぶやくと、心がますます重くなる。
私は机に飾っているお母さんの写真を抱き締め、そのままベッドにもぐりこんだ。
「お帰りなさい、麻衣ちゃん」
「……」
玄関まで出てきたあずささんを無視して、自室へと向かう。
一人にしてほしいのに、あずささんはついてきて話しかけてきた。
「あ、お、おやつあるわよ。麻衣ちゃんシュークリームが好きだってきいて買ってきたの……」
「いらない」
「……そ、そう。友達と何か食べてきたのかしら?」
「関係ないでしょ」
友達なんて、いないし。
わざとバンッと大きな音を立ててドアをしめると、その向こうからあずささんのため息が聞こえてきた。
(…なによ、傷ついたふりしないでよ)
嫌なのはこっちの方よ。
あんたさえ来なければ、お父さんと2人で上手くやっていたのに。
いい人ぶって、母親ぶって、私にこびを売ってきて
ーーー馬鹿みたい。
「…きらい。あんな人」
そうつぶやくと、心がますます重くなる。
私は机に飾っているお母さんの写真を抱き締め、そのままベッドにもぐりこんだ。