僕は君に夏をあげたかった。
「あ、…あなた、やりすぎです!
麻衣ちゃん、大丈夫?」

「……っ!」


あずささんが私に駆け寄ろうとしたけど、私はそれを払いのけ、自分の部屋へと走って戻る。

そのまま電気をつけることもせず、暗い部屋でひたすら泣いた。

お父さんやあずささんが様子を見に来たけれど、絶対部屋には入れなかった。

ただ、声をあげて泣き続ける。

そうしているうち、泣きつかれてその日は眠ってしまった。

ひどく悲しい夢を見た気がするけれど内容は思い出せない。


…次の日の朝、目を覚ますとまぶたがものすごく腫れていた。

こんな顔で学校には行けない。

いや、もうどんな顔だとしても……学校には行きたくない。

田中さんたちに会いたくない。誰にも会いたくない。

……あずささんにも、お父さんにも会いたくない。


その日から私は学校に行かず部屋に引きこもるようになった。

必要以上は部屋から出ず、お父さんやあずささんともほとんど顔を合わさず

一日の大半をベッドの中で過ごした。

もうこのまま消えてしまいたいと……思った。
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