僕は君に夏をあげたかった。
そして花火の時間になり、海へと移動する。
砂浜には見たことないくらいたくさんの人が集まっていた。
(…この町って、こんなにたくさんの人がいるのか。意外だ…)
なんて、少し失礼なことを思ってしまっていた。
「……松岡さん、こっち」
佐久良くんが私の手を引いて、すいているところへ案内してくれる。
磯の近くの、少し影になっているけれど、この分人が少ない場所に私たちは座った。
「いい場所があいていて良かった」
「あと5分くらいで始まるね」
「花火楽しみだな。実物を見るのはすごく久しぶりだ」
「私も」
「………」
「………」
一瞬の沈黙。
会話のなくなった私たちに、周りの雑音が大きく聞こえた。
ざわざわとした会話の声。
波の寄せる音。
遠い祭ばやし。
すべての音が私と佐久良くんを包み込む。
「……………松岡さん、ごめん」
「え……」
「ずっと連絡しなくて……なんの説明もしなくて……不安になったよな」
「……まあ、そりゃあ……」
「ごめん。松岡さんに、きちんと話さないといけないと思いながら……できなかった」
「……どうして?」
「こわかったんだ。現実を思いしらされるのが。君の前では、中学の時の、少し身体が弱いけれど、普通に元気な俺でいたかった」
「……げんじつ」
砂浜には見たことないくらいたくさんの人が集まっていた。
(…この町って、こんなにたくさんの人がいるのか。意外だ…)
なんて、少し失礼なことを思ってしまっていた。
「……松岡さん、こっち」
佐久良くんが私の手を引いて、すいているところへ案内してくれる。
磯の近くの、少し影になっているけれど、この分人が少ない場所に私たちは座った。
「いい場所があいていて良かった」
「あと5分くらいで始まるね」
「花火楽しみだな。実物を見るのはすごく久しぶりだ」
「私も」
「………」
「………」
一瞬の沈黙。
会話のなくなった私たちに、周りの雑音が大きく聞こえた。
ざわざわとした会話の声。
波の寄せる音。
遠い祭ばやし。
すべての音が私と佐久良くんを包み込む。
「……………松岡さん、ごめん」
「え……」
「ずっと連絡しなくて……なんの説明もしなくて……不安になったよな」
「……まあ、そりゃあ……」
「ごめん。松岡さんに、きちんと話さないといけないと思いながら……できなかった」
「……どうして?」
「こわかったんだ。現実を思いしらされるのが。君の前では、中学の時の、少し身体が弱いけれど、普通に元気な俺でいたかった」
「……げんじつ」