もしも君が隣にいたら。
彼女がいなくなってからの生活は、
苦しくて悲しくて絶望的で何も手につかなくて…………なんて事は全くなかった。
いつも通りだった。普通だった。
ただそこに、マロがいないだけ。
絶対にこうなる、って思っていたことは何一つ無く、むしろ順調に進む人生に、逆に虚しくなった。
大事な命と引き換えに、自分の幸せを手に入れた気がした。
そんな訳の分からない不安と不満に押し潰されそうになって、吐き出す旅に来た。
ずっと迷想に浸り黙り込んだままの私に彼は言った。
「大丈夫」
たった三文字の。
平仮名にすれば六文字の。
そんな言葉に救われた自分がいた。