もしも君が隣にいたら。
君という人
え……?
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「じゃあさ、僕は誰?」
そう言われて初めて思った。
彼は誰だろう?
「……だれ?」
恐る恐る聞くと彼は吹き出した。
「ホント正直!ハハッ、いやいい事だけどね」
私の頭の中はただひたすらにはてな畑。
そもそも彼は全く見知らぬ人なのだ。
いわば不審者に話しかけられてる、若しくはナンパされてる状態なのだ。
「不審者じゃないし、ナンパでもないよ」
「?!」
やっぱり彼は宇宙人でエスパーなのだろうか……
すべて読まれてしまうことに恐怖や不安よりも、今の私は安心を覚えた。
読まれてしまうなら、隠す必要はないな、と。
「……お兄さん宇宙人なら、UFOとか乗ったことある?」
「ごめん急に君の心が読めなくなった」
そう言って小難しそうな顔をした。
「…………UFOはないけど、リムジンなら」
「えーすごい!どうだった?」
彼は記憶を辿っているようだ。
「……広かった」
「え、それだけ?」
彼をみるとコクっと頷いて、悲しそうな顔をした。
「そっか。いい思い出じゃないんだ」
もう一度頷いて見せた。
その瞳はかつて何を映したのだろう。