結婚も2度目だからこそ!
――その時。


バッグの中で携帯が震える。
その震え方にして、メールのようだ。

メルマガかな?なんて思いながら、バッグから携帯を取り出し、画面を覗く。

そこに表示された文字に、思わず目を見張った。


『メール一件 圭悟』


もう来ないものだと思って、アドレスを消していなかった。
だから来るなんて思ってもみなかった。

一体なに?どうしてメールなんか……。

携帯を持つ手が震える。
ボタンを押したいのに、勇気が出ずに押すことができない。


そうこうしている間にホールの入口の扉が開き、列が動き出した。

どうやら会場の時間になったよう。
私は一旦携帯を戻して歩き出した。


その間もメールのことで頭がいっぱいで、冷静になれなかった。

なんで今更、私にメールを?
私になにを話すことがあるの?

そんな疑問ばかりが頭の中をぐるぐると回っている。

チケットを出して中に入り、ロビーの一角にある椅子を見つけ、そこに腰掛ける。
そして再度携帯を取り出した。

見間違いだと思いたかった。
けど何度見ても、画面には圭悟の名前が表示されていた。


その名前を見て、忘れかけていた離婚までの思い出が蘇って、心の中がざわざわと乱れ始める。

――開きたい。
でも、開きたくない。

なんでこんな時に私に送ってくるの?


そのまま消したって良かった。
消すべきだった。

だけど、何故かその時はそれができずにいて……。




意を決して、私は開くためのボタンを押した。

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