結婚も２度目だからこそ！
どうやら隠そうとしても顔に自然と出てしまっているようで、先輩にはお見通しのようだった。

私を見る先輩の瞳はとても真剣で、その瞳に掴まって逸らすことができない。


この感じは、多分はぐらかしてもしつこく聞いてくるはず。
遅かれ早かれ知られてしまうのは間違いない。

そう思って、先輩には隠さずに話すことにした。


「……その、メールが来たんです。前の夫から」

「……なんて？」

「『寂しい』と。ただそれだけ」

そう聞くな否や、先輩の表情がみるみる厳しい顔に変わっていって……。
その表情に思わずごくりと息を飲む。

どうして先輩がそんな顔を……？


「随分と勝手な男だな……。自分から浮気しといて、寂しいだなんてよく言えたもんだ」

先輩はそう言いながら、テーブルに自分の拳をコツコツと音を鳴らして叩く。
明らかに苛立っているのが分かった。

先輩が怒ってくれるのは嬉しい。

けど、私のことなのになぜそこまで怒るのか、私には分からなかった。


そんな時、私たちの前にコーヒーが運ばれる。

先輩は表情を和らげ、「ありがとう」と言うと、ストレートで一口飲んだ。


私は先輩から目線を落とし、コーヒーカップからゆらゆらと出る湯気を見つめる。

湯気は不規則に揺れながら、上へと行くにつれて徐々に消えていく。



その湯気は、まるで私の気持ちのようだと思った。


たった一言、それだけで私の心はこの湯気のように不規則に揺れる。

だけどその湯気が無くなっていくように、私のこの複雑な想いもまた、昇華されていくのだろうか。

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