結婚も2度目だからこそ!
「――顔を上げて」
その声に、私は恐る恐る顔を上げた。
上げた先には先輩の優しい笑顔があった。
「迷惑なんて思わない。むしろこうやって俺が一緒にいることで、京香ちゃんが立ち直るのなら、いつでもどこでも俺が傍にいてあげるよ。だから心配しなくていい、京香ちゃんは安心して俺に甘えていいんだ」
「……先輩……」
「付き合おう、俺たち。そうすれば君も気兼ねなく俺に甘えられるだろう?」
「あ、そ、そうですね!付き合えば私も先輩に、……って、え!?」
つ、付き合う!?
先輩が私と!?
突然の先輩の言葉に、驚いて固まってしまった。
冗談だと思った。
けど、目の前の先輩の瞳は真剣で……。
私は離婚してバツイチだし、先輩に釣り合うような女じゃないのに。
……そんなに簡単に言っていいの?
先輩は嫌じゃないの?
「いいんですか……?後悔するかもしれませんよ?」
「後悔?どういうこと?」
「だって私は、バツがついた女だし……。周りからからかわれるかもしれませんよ?」
「周りって……。そんなこと俺が気にすると思う?むしろ今のどっちつかずの状態で、色々言われる方が面倒臭くない?それにさ、今の世の中バツイチなんてごまんといるでしょ。ただ書類上で夫婦になったかならなかっただけのことで、別れなんて普通にあるわけだしさ。バツイチだからって引け目を感じる必要なんてないよ。離婚の理由だって、京香ちゃんが悪い訳じゃないんだからさ」
「それはそうですけど……」
でも本当に、先輩はそれでいいのだろうか?
私のために、私のマガママなお願いのために、私と付き合う。
もしかしたら私と付き合うことで、先輩の大事な未来を壊してしまったりしないだろうか。
それが不安で仕方なかった。