結婚も2度目だからこそ!
散々泣きはらして、翌日から素早く行動を開始した。
元夫予定の圭悟に、話し合いの為の連絡を入れ、休日に圭悟と浮気相手の女を呼び出す。
時間は昼、場所は休日で大勢の人が賑わうファミレスだ。
あのよろしく部屋になんて、圭悟たちと一緒に一歩たりとも入る気なんて起きなかったし、必死で私に頭を下げる情けない圭悟の姿を、周囲に晒してやりたいっていう、私のささやかな復讐心もあったのだと思う。
案の定圭悟はテーブルに頭を擦りつけて謝罪していた。
その隣の女は青ざめた表情で俯いて何も話さない。
離婚したくない、と涙目で謝る圭悟。
だけど、私の心はちっとも揺らがなかった。
むしろいい年した男が泣きそうな顔を浮かべて謝る姿が、思った以上に見苦しくて情けなくて、三年という長い期間に培ってきた愛情のかけらすら弾け飛んでなくなり、嫌悪しか残らなかった。
私はそんな圭悟の前に離婚届を差し出す。
そして隣の女には慰謝料に関する念書を差し出した。
本当はお金が欲しい訳じゃなかった。
結婚式の為にコツコツとお金も貯めていたから、何か月かは仕事をしなくても生きて行けるだけの貯金はある。
だけど既婚者に手を出して、家庭を壊した罪は重い。
その罪はちゃんと償ってもらわないと困る。
だから念書を作成した。
少しでも証拠として残しておけば、どれだけの罪を犯したかを実感するはずだから。
もし、この話し合いに来ないようだったら、徹底的に潰してやろうかとも思ったけど、彼女はちゃんとこの場にやってきた。
それはきっと反省をしているからなのだろう。
だから、この念書通りの慰謝料さえ払ってくれたら、もうこの話は終わりにしようと思っていた。
彼女はその念書を一通り見た後、何も言わずにサインと捺印をし、泣きながら私に深く頭を下げた。