結婚も２度目だからこそ！

言葉の真意

"俺の力で京香を幸せにする"


その言葉が、ずっと頭の中をぐるぐると回っている。

あれから日が変わるまで飲み会は続き、その後も沙織と有希は二人で別な店で飲むといって店の前で別れ、私は先輩とふたりで飲み屋の明かりが灯るだけの商店街を歩いていた。

先輩は少しお酒で顔を赤くして、でもいつも通りの表情。
私はそんな先輩の顔をチラチラと見ながら、あの言葉の真意が知りたくて、ずっともやもやとしていた。


私は先輩にそこまで求めていない。
……いや、求めてはいけないと、そう思ってた。

だけど、先輩は動じることなくハッキリと有希に言って……。

それは有希たちを心配させまいと言っただけなのか。

それとも……？




商店街を抜けると、駅が見えてくる。

電車はもうすでに終電が行ってしまって、駅の前には乗り遅れた人と、そんな人を乗せるためのタクシーが待機しているだけ。


タクシー乗り場の前に着くと、先輩は立ち止まって私を見つめた。


「さて、京香はどうする？」

「……え？」

「そのまま自分の家に帰る？それともこのまま俺の家に行く？」



その言葉に、ドキッと大きく心臓が跳ねた。


今から先輩の家に行く……？
それって……。

私もいい大人だ。
その先に何が待っているかなんて、十分過ぎるくらい分かっている。

名目上、私は先輩の彼女。
だから別に先輩の家に行くことくらい、何でもない。

……だけど。


「……先輩、酔ってるでしょ」

「凄く酔ってるね。こんな冗談言えるくらいに」

そう言って先輩はフフッと笑った。



――胸の高鳴りが激しくなる。


確かに酔っているから、簡単に言える言葉なのかもしれない。

でも、私を見つめる先輩の瞳がやけに真剣で……。


「いいんですか？私、先輩の家に行っても」

その言葉に先輩は少し驚いた表情をしたけど、すぐに笑顔になって私の前に手を差し出した。


「京香は俺の彼女でしょ？京香が良ければ、何も問題ないよ。……じゃあ、行こうか」