結婚も2度目だからこそ!
私のものではない、別な体温。
私よりももっと熱い体温。

感じたい。――もっと。

このままずっと身体全体で感じていたい。



「……今なら止められる。どうする?京香」

先輩は私を見下ろしながら、意地悪な笑みを浮かべ言った。


あれ?先輩ってこんな人だった?
普段はもっと優しくて、紳士的な人だと思っていたのに。


……でもそんなの、今はどうでもいい。
ただ、今は先輩をもっと感じていたい。

「……ばか」

でも恥ずかしくて『止めないで』、なんて言えず、ついそんな言葉が出てしまう。

「どうする?京香」

「これ以上言わせないで、恥ずかしいんだから。……分かってるくせに」

口では悪態をついても、私の身体は正直だ。
だって私の腕は、先輩から離れまいとしっかり回されているんだから。

そんな私に、先輩はフフッと声を出して笑った。

「知ってる。ちょっと意地悪言いたくなっただけ」

「本当、意地悪だよ。そんな意地悪なこと言う人だとは思わなかった」

「こんな俺は嫌い?」


「……ううん。むしろ、す……」


"好き"


と言おうとしたところで、唇を再び塞がれた。
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